House in Suginami
敷地は都内住宅街の高台にあります。
南側隣地には高さ1.2m程の生垣が植えられており、生垣の向こうの崖下には線路が走ります。線路越しの対岸には公園の豊かな緑を借景として臨めます。
既成の住宅建築の枠組みに不自由を感じていたクライアント夫婦が求めたのは、夫婦各々が独立できる家であること、人が自由に集まることができるパブリックスペースがあること、そしてそこに生まれる新しいライフスタイルでした。
プライベートエントランスを入って半地下に下ると、動線・設備コアの両側に夫婦の個室が配置されています。生垣に囲まれた専有庭を持つ、プライベート性の高い空間です。
一方、道路から続く外階段を1.2m程上がったパブリックエントランスを入ると、南側を全面開口とし、生け垣を超えて崖にせり出すサロン空間があります。床はアプローチ同様スレート敷きにすることで外部との連続性を高め、対岸の公園と連続する開放的な空間としました。
家の中に、サロンという「よそ行き」「出会い」の場があることで、夫婦が心地よい距離感を保って生活できるようになりました。また、夫婦の子どもや友人がサロンを訪れ、今まで接点のなかった者同士が自然と時間を共有することも頻繁に起こるようになりました。従来の住宅の概念に縛られた不自由な生活を解放すると、自然と新しい生活や繋がりが生まれることを、この建築は実証しています。
建築敷地 | 東京都杉並区 |
建築用途 | 住宅 |
竣工年月 | 2016年 |
敷地面積 | 93㎡ |
延床面積 | 108㎡ |
構造設計 | 馬場 貴志 |
監理協力 | 渋谷真弘建築設計事務所 |
施工会社 | 株式会社キド建設 |
施工協力 | 旭ビルウォール株式会社 三和タジマ株式会社 |
材料協力 | 旭ビルウォール株式会社 グラストップ株式会社 東リ株式会社 インビスタジャパン合同会社 |
写真撮影 | 鈴木 淳平 池田 真 * 木藤 美和子 ** |
掲載 | architecturephoto |